顔面麻痺はリハビリしながら三歩進んで二歩下がる、的にゆっくりゆっくり長い時間をかけて治っていきますが、このリハビリ期間をできるだけ短くしたいと誰もが思います。
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ところが、いくらマッサージやトレーニングを頑張ったからといって、早く神経が然るべき場所に再生する、というわけではありません。
顔面麻痺のリハビリには、二つの目的があります。
一つは傷ついた神経を修復して育てること、もう一つは後遺症の共同運動がおこらないようにすること、です。
例えば草花を育てるとしましょう。
温かい場所で生育する品種を寒冷な土地に撒いても、なかなか芽は出しません。
早く育てとばかりにいくら水や肥料を与えても無意味で、それどころかやり過ぎるとかえって根を腐らせてしまいます。
その品種にとって大切なのは、肥料や水やりよりも温かい環境なのです。
神経も同じで、いつも冷やさないようにして肥料である血行をよくしておくことがまずは大切です。
そしてトレーニングをやったらやっただけ早く修復できるというわけではありません。
やり過ぎても意味がないばかりか逆効果ですし、もちろんやらずにいるのもよくありません。
その時期とさじ加減が大切です。(発症直後、急性期のリハビリ 顔が動き始めた回復期のリハビリ)
顔面麻痺のリハビリで怖いのは、マッサージやトレーニングをやり過ぎて、後遺症の病的共同運動を酷くしてしまうことです。
やり過ぎるくらいなら、むしろトレーニングはしないほうがましだという医師もいるほどです。
とにかくマッサージやトレーニングは、頑張ったり、無理に動かそうとしたり、力を入れすぎるのは禁物です。丁寧に少しずつするようにします。
トレーニングという言葉が誤解を招くのですが、「鍛える」という考え方は捨てることです。
弱っているものを鍛えてもそれは無理というもの。
カメに兎のように走れ、ワニに腹筋しろ、というのと同じです。無理なのです。
顔面麻痺のトレーニングは、「鍛える」というより、「導(みちび) く」ためのものです。
健常だった頃の状態に神経を優しくゆっくり導く、つもりで行うようにしましょう。
特に発症後3カ月前後は、神経が伸びながら然るべ場所を探している時期なので、無理に表情を作る、何処かを動かそうとする、といったトレーニングはしないようにします。
この期間にそういったトレーニングをすると、4カ月後(発症後)辺りから、共同運動が出始めます。
気をつけていても多かれ少なかれ共同運動は出ると思いますが、最小限にくいとめるには、トレーニング(表情を作る、自力で何処かを動かそうとする練習)は3カ月以降(人によってこの期間に多少差があるようですが、とにかく動かせるようになってから間をおく)から始めたほうがいいと思います。
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なお、 トレーニングをする時は、顔を温める、軽いマッサージをするなどして、血流をよくしてから行います。
寒いところでやると筋や関節を痛めて危険、な ヨガや整体と同じです。
(してはならないリハビリの仕方、 表情筋のストレツチ 顎関節のストレッチ)
目の保護と口腔ケアには気をつけます。
この部分に支障が出ると、神経のバランスを崩してトレーニングどころではなくなります。
顔面麻痺になると悪くなりやすい箇所なので意識してケアするようにしましょう。
(目のケアに注意 歯と歯茎 口腔ケア)
ところでリハビリ中、整体や鍼灸院などの治療院に通う人もいるかと思います。
私も調子が悪い時には何件かの治療院にお世話になっています。
そこでよく耳にしたのが、後遺症を残すことになるので低周派治療は絶対に受けてはならない、ということでした。
低周派治療とは神経に微細な電流を流して、動かない箇所を人工的に動かそうとする治療です。
いろいろ調べてみると、低周派治療はしないほうがいい、という医師と、する時期が大切で、タイミングがずれているならしないほうがいい、という医師がいました。(すみません、その然るべきタイミングについては私にはわかりません(__))
個人的な感想を言うと、ごく特殊な場合を除き、低周派治療は避けたほうが無難、だと思います。
知人で、この治療をうけたからか、後遺症が酷く残っている人が確かにいるからです。
私は医師でも専門家でもないので断言はできませんが、治療院に行く時は留意しておいたほうがいいでしよう。
さて、体調や気候により麻痺の具合は日々変化します。
対処に無頓着でいると、せっかく治ってきたものがまた逆戻り、なんてことにもなってしまいます。
どうしても重くなっている時はトレーニングは休み、一時的にいろいろなアイテムを使って乗り切りましょう。
私も長年の経験上、もっと早く知っていたら、と思う工夫やグッズがけっこうありました。
麻痺の箇所や重度により、重点的にケアしなければならないところは人それぞれだと思います。
ここではからだのパーツに分けても書いています。
特に注意しなくてはならないのは目と歯ですが、首や肩の筋肉も密接に関係しています。
どうすれば調子が戻るのか、いろいろ試して自分に合ったケアを見つけて下さい。
案外思わぬところがネックだった、なんてこともあると思います。
まとめ
1 顔、首、後頭部を冷やさない。
2 トレーニングを始めるのは発症後3カ月以降。それ以前は保温につとめ、丁寧なマッサージを。
3 マッサージやトレーニングはやりすぎない。する時は血流を良くしてから少しずつ丁寧にやる。間違ったトレーニングならしないほうがまし。
4 目の保護と口腔ケアを怠らない。
5 低周波治療を受けるなら時期を見極める。時期がずれると後遺症の原因に。
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